kintone AIとは——β版との違いを一言で

kintone AIとは、サイボウズが提供する業務アプリ構築サービス「kintone(キントーン)」に組み込まれたAI機能の総称です。2024年末から「kintone AIラボ」としてβ版の提供が始まり、2026年6月14日に正式版として一般提供に移行しました

β版との最大の違いは「安定性と対象範囲の拡大」です。β期間中は機能が限定的で、仕様変更が頻繁でした。正式版では6つのAI機能がkintoneの標準機能として位置づけられ、スタンダードコースまたはワイドコースを契約している組織であれば、AIクレジットの消費範囲内で追加費用なしに使い始められます。

「kintoneを使っているが、集計と報告書はまだExcelで手作業」という状態が、kintone AIによって変わりはじめている。

正式版で使えるようになった6つのAI機能

kintone AI正式版には、大きく「データ活用系」と「市民開発系」の2カテゴリに分かれる6機能が含まれています。

データ活用系①:レコード一覧分析

kintoneのアプリ上に蓄積されたレコードの一覧を、AIが自動で集計・分析して自然言語で要約します。たとえば、営業日報が100件蓄積されているアプリで「今月の傾向を教えて」と問いかけると、訪問先の業種傾向・よく出た課題・提案内容のパターンなどを文章でまとめてくれます。月次の振り返り会議の前に全員分のデータをAIに要約させると、管理職がレコードを手動で読む工数を大幅に削減できます。

データ活用系②:検索AI

kintone内に散在するマニュアル・過去の問い合わせ対応履歴・社内制度などを横断検索する機能です。通常のキーワード検索と異なり、「類似した意味」で検索できるため、正確な言葉が思い出せなくても関連する情報を引き出せます。特に「同じ質問が何度も担当者に届く」という業種(小売・介護・士業など)では、問い合わせ対応の初期コストを下げる効果が期待できます。

データ活用系③:スレッド要約AI

kintoneのレコードに蓄積されたコメントスレッド(やりとりの経緯)を、AIが要約する機能です。引き継ぎや案件確認の際に「これまでの経緯を読む時間」が大幅に短縮されます。複数の担当者がコメントを重ねているプロジェクト管理アプリや、顧客対応履歴アプリで特に効果を発揮します。

文書生成系:AI文書生成

kintoneのフィールドに入力されたデータをもとに、申請書・報告書・議事録の下書きを自動作成する機能です。例えば、日報の各項目(訪問先・商談内容・課題・次のアクション)を入力したレコードから、週次報告書の文章を自動で生成できます。「書く作業」の時間を削り、担当者が確認・修正に専念できる環境を作ります。

市民開発系:アプリ作成AI・プロセス管理設定AI

「顧客対応記録のアプリを作りたい」「承認フローを追加したい」といった要望をテキストで入力すると、AIがkintoneのアプリ設定やプロセス管理の初期設定を自動で生成してくれます。kintoneの設定に慣れていない担当者でも、AIに指示するだけで基本的なアプリを素早く用意できるため、現場主導でのDX推進を後押しします。

中小企業がまず試すべき3つの業務フロー

6つの機能の中でも、中小企業が費用対効果を実感しやすい業務フローは以下の3つです。

① 日報・商談記録の月次サマリを自動生成する

営業担当者が毎日記録している日報をkintoneで管理している場合、月末に「レコード一覧分析」を使うと、部門全体の活動傾向・課題・成功事例をAIがまとめます。管理職が一件一件読み込む作業がなくなり、月次ミーティングの質が上がります。さらに「AI文書生成」で月次報告書の下書きを作れば、作成時間を数時間から30分以下に短縮できます。

向いている業種例:営業職のいる会社全般、製造業の生産日報、介護施設の業務記録

② 問い合わせ対応のナレッジを「検索AI」で引き出す

よくある問い合わせの対応履歴や、マニュアル・FAQ文書をkintoneアプリに蓄積している場合、検索AIが「意味での検索」を実現します。たとえば「納品書の再発行」と入力すると、「領収書の再送」「請求書の再作成」など類似したやりとりも一覧で出てくるため、新人担当者でも迷わず対応できる環境が整います。

向いている業種例:EC・通販、不動産管理、士業・コンサルティング、カスタマーサポート部門

③ フィールドデータから申請書・報告書の下書きを作る

kintoneに入力されたデータを起点に、AI文書生成で成果物の下書きを作る流れです。見積依頼フォームの入力データから提案書の骨格を生成したり、設備点検フォームの記録から報告書の文章を出力したりすることができます。「データを入力する」と「書類を作る」が同一フローに統合されるため、入力の重複と転記ミスが同時に解消されます。

向いている業種例:建設・建築、医療・調剤薬局、行政サービス、製造・品質管理

始める前に確認したい2つのこと

① プランとAIクレジットの確認

kintone AIが使えるのは、スタンダードコースまたはワイドコースを契約している組織のみです。ライトコースは対象外のため、現在のプランをまず確認してください。クレジット制の仕組みは、AIの使用量(処理したテキストの量・回数)に応じてクレジットが消費される形です。月ごとの無料クレジット枠を超えると有料オプションの購入が必要になる場合があります。まず小規模な業務で試し、使用量の感覚を掴んでから全社展開するのが現実的な進め方です。

② データの整備状況の確認

AIの出力精度は、kintoneに蓄積されているデータの量と品質に直結します。フィールドの入力がバラバラ(記述が短い・フォーマットが統一されていない・データが古い)な状態では、AIが有意義な分析や要約を返しにくくなります。まず既存のアプリの入力ルールを見直し、記述の少ないレコードを補完してから試すと、AIの効果を実感しやすくなります。

kintone AIが得意なこと、まだ苦手なこと

kintone AIを導入する前に、得意・不得意を正しく理解しておくことが重要です。

  • 得意:大量のテキストデータの要約、過去記録の横断検索、定型文書の下書き生成、アプリの初期設定支援
  • 苦手:数値の精密な集計(レポート機能・ピボット集計の方が確実)、外部システムとのリアルタイム連携、個人を特定した細かい差異の判断

特に「AIが生成した要約に誤りが含まれる可能性」は常に念頭に置いておく必要があります。月次報告書の下書きや申請書の案文をそのまま使うのではなく、「AIが下書き→担当者が確認・修正→提出」というワークフローを明示的に定めておくことをおすすめします。

また、kintone AIが外部の情報(競合他社の動向、最新のニュースなど)を参照することはありません。あくまで自社のkintone内に蓄積されたデータを対象とする点は、情報漏洩リスクの観点からはメリットでもあります。

よくある質問

kintone AIは追加費用がかかりますか?
kintone AIはスタンダードコースまたはワイドコースの契約に含まれる「AIクレジット」を消費する形で利用できます。クレジットの範囲内であれば追加費用は発生しませんが、大量に使用する場合は追加クレジットの購入が必要になることがあります。ライトプランは対象外のため、プランを確認してから始めてください。
kintone AIを活用するために、事前にデータ整備は必要ですか?
AIが有効に機能するためには、ある程度のデータが蓄積されていることが前提です。特に「検索AI」や「レコード一覧分析」は、登録されたデータの量と質に出力の精度が左右されます。まずは現在使っているアプリのデータ入力ルールを統一し、記述が少なすぎるレコードを整理するだけでも精度は上がります。
kintoneを使っていない会社でも、同様のAI活用はできますか?
はい、可能です。NotionやAirtable、Googleスプレッドシートにデータを蓄積している場合、それらをRAG(検索拡張生成)システムに組み込んだり、DifyやMakeと組み合わせることで、kintone AIと同様の検索・要約・分析の仕組みを構築できます。ただし、kintone AIはkintoneのUI内でシームレスに使える点が強みです。
kintone AIで生成されたレポートや要約をそのまま使っていいですか?
生成AIの出力は、数字や固有名詞の誤りが含まれることがあります。月次レポートや申請書の下書きとして使う場合は、必ず人の目で確認・修正してから利用してください。「AIが下書きを作り、担当者が仕上げる」という役割分担を最初から設計しておくと、誤情報をそのまま使ってしまうリスクを下げられます。

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株式会社DnDでは、kintoneと生成AIの連携設計や、社内データを活かしたAI活用の仕組みづくりをご支援しています。「kintone AIを試してみたが効果が出ない」「データの整備から始めたい」といった段階からのご相談も歓迎です。

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